任意売却と競売の違いは?任意売却の方が高く売却できるって本当?
住宅ローンの返済が困難になった際、不動産所有者が直面する選択肢として「任意売却」と「競売」があります。これらは一見似ているように思えますが、実際には大きな違いがあります。本記事では、任意売却と競売の違い、それぞれのメリットとデメリット、そして任意売却が競売よりも高く売却できる理由を詳しく解説します。
任意売却と競売の基本的な違い
任意売却とは
任意売却は、不動産所有者が自らの意思で物件を売却する方法です。住宅ローンの返済が困難になった場合でも、金融機関の承諾を得て行うことができます。所有者自身が不動産会社と協力して買主を探し、売却を進めます。
競売とは
競売は、債権者(多くの場合は金融機関)が裁判所に申し立てを行い、強制的に不動産を売却する法的手続きです。所有者の意思に関わらず、裁判所の主導で売却が進められます。
主な違いのポイント
任意売却 | 競売 | |
---|---|---|
主導権 | 所有者が主導権を持つ | 裁判所が主導権を持つ |
売却価格 | 市場価格に近い金額で売却できる可能性が高い | 一般的に市場価格より低い金額で売却される傾向がある |
売却期間 | 比較的短期間で売却できる可能性がある | 法的手続きのため、長期化することが多い |
物件の状態確認 | 買主が物件を内覧できる | 通常、内覧ができない |
所有者の信用への影響 | 比較的影響が小さい | 信用情報に大きな影響を与える可能性がある |
任意売却のメリットとデメリット
任意売却のメリット
高値での売却可能性
任意売却では、通常の不動産取引と同様に物件を市場に出すことができます。そのため、競売よりも高い価格で売却できる可能性が高くなります。具体的には、市場価格の約80%から90%で売却できることが期待されます。
売却までの期間短縮
競売に比べて、任意売却は比較的短期間で完了することが可能です。所有者自身が積極的に売却活動に関わることで、迅速な売却が期待できます。
残債務の交渉余地
任意売却では、売却金額が住宅ローンの残債務を下回る場合でも、金融機関と交渉して残債務の減額や分割返済などの柔軟な対応を求めることができます。
信用情報への影響軽減
競売に比べて、任意売却は所有者の信用情報に与える影響が小さいです。将来的な金融取引や就職活動などにおいて、大きな不利益を被るリスクを軽減できます。
心理的負担の軽減
強制的な手続きではなく、自らの意思で進める売却であるため、所有者の心理的負担が比較的軽くなります。また、近隣住民への配慮も可能です。
任意売却のデメリット
売却活動の負担
所有者自身が売却活動に関わる必要があるため、時間と労力がかかります。不動産会社との連絡や交渉、書類の準備など、様々な作業が発生します。
金融機関の承諾が必要
任意売却を行うためには、住宅ローンを提供している金融機関の承諾が必要です。場合によっては、承諾を得るのに時間がかかったり、条件が厳しくなったりする可能性があります。
連帯保証人の同意
連帯保証人がいる場合、その同意を得る必要があります。関係が悪化している場合など、同意を得るのが困難なケースもあります。
売却期限の制約
金融機関から承諾を得る際に、売却期限が設定されることがあります。この期限内に売却できない場合、競売に移行するリスクがあります。
残債務の返済義務
売却金額が住宅ローンの残債務を下回る場合、その差額を返済する必要があります。完全に債務から解放されるわけではない点に注意が必要です。
競売のメリットとデメリット
競売のメリット
所有者の労力軽減
競売は裁判所が主導して進めるため、所有者自身が売却活動に関わる必要がありません。手続きの負担が比較的軽いと言えます。
確実な売却
法的手続きとして進められるため、必ず売却が完了します。任意売却のように買主が見つからないリスクはありません。
債務の確定
競売によって物件が売却されると、その時点で債務額が確定します。これにより、今後の返済計画を立てやすくなる場合があります。
競売のデメリット
低価格での売却
競売物件は一般的に市場価格よりも低い金額で売却される傾向があります。通常、市場価格の60%から70%程度で売却されることが一般的です。内覧ができないことや、権利関係の不透明さなどが要因です。
長期化するプロセス
法的手続きを経るため、売却完了までに長期間かかることが一般的です。その間、延滞利息が積み重なる可能性があります。
強制退去
競売が決定すると、所有者は強制的に退去を求められます。住む場所の確保や引っ越しの準備に十分な時間が取れない可能性があります。
信用情報への深刻な影響
競売は個人の信用情報に大きな傷をつけます。将来的な借入や就職活動などに深刻な影響を与える可能性が高くなります。
心理的負担
強制的な手続きであるため、所有者の心理的負担が非常に大きくなります。また、近隣住民に知られてしまうことで、社会的な信用も損なわれる可能性があります。
任意売却と競売の価格差
任意売却と競売では、不動産の売却価格に大きな違いがあります。以下に、具体的な数字を交えて説明します。
市場価格が3,000万円の住宅の場合
売却価格 | 市場価格との割合 | |
---|---|---|
任意売却 | 2,400万円~2,700万円 | 市場価格の80%~90% |
競売 | 1,800万円~2,100万円 | 市場価格の60%~70% |
この場合、任意売却は競売よりも300万円~900万円高く売却できる可能性があります。
- ある事例では
- 競売落札価格:4,220万円
- 任意売却価格:4,800万円
別の事例では競売と比較して、任意売却で約200万円~600万円有利に売却できたケースが報告されています。
これらの数字から、任意売却は競売と比較して、平均して10%~30%程度高く売却できる可能性があると言えます。この差額は、残債の返済や新たな生活の開始資金として重要な意味を持ちます。
なぜ任意売却がおすすめなのか
以上のメリットとデメリット、そして価格差を比較すると、多くの場合において任意売却の方が有利であると言えます。以下に、任意売却をおすすめする主な理由をまとめます。
経済的メリット
任意売却では、競売よりも高値で物件を売却できる可能性が高くなります。前述の通り、10%~30%程度の価格差が生じる可能性があります。これは、債務の返済に充てられる金額が増え、経済的な負担を軽減できる可能性が高まることを意味します。
時間的メリット
競売は法的手続きを経るため、売却完了までに長期間かかることが一般的です。一方、任意売却は所有者自身が主導して進めるため、比較的短期間で売却を完了させることができます。これにより、延滞利息の増加を抑えることができ、また早期に生活再建に向けた行動を起こすことが可能になります。
信用情報への影響軽減
競売は個人の信用情報に深刻な影響を与えますが、任意売却ではその影響を最小限に抑えることができます。将来的な金融取引や就職活動などにおいて、大きな不利益を被るリスクを軽減できる点は非常に重要です。
柔軟な対応が可能
任意売却では、金融機関との交渉の余地があります。残債務の減額や分割返済など、個々の状況に応じた柔軟な対応を求めることができます。これは、競売では得られない大きなメリットと言えるでしょう。
心理的負担の軽減
強制的な手続きである競売に比べ、任意売却は所有者の意思で進める売却方法です。そのため、心理的な負担が比較的軽くなります。また、近隣住民への配慮も可能であり、社会的な信用を維持しやすいと言えます。
物件状態の適切な開示
任意売却では、買主が物件を内覧することができます。これにより、物件の実際の状態を適切に開示することができ、トラブルを防ぐことができます。結果として、スムーズな売却につながる可能性が高まります。
次の住まいの準備時間確保
競売の場合、強制退去を求められるため、次の住まいの準備に十分な時間を取れない可能性があります。任意売却であれば、売却のプロセスを自身でコントロールできるため、新しい住まいの準備を計画的に進めることができます。
任意売却を成功させるためのポイント
任意売却を選択した場合、以下のポイントに注意することで、より良い結果を得られる可能性が高まります。
1. 早期の対応
住宅ローンの返済が困難になった場合、できるだけ早く任意売却の検討を始めることが重要です。早期に対応することで、選択肢が広がり、より良い条件で売却できる可能性が高まります。
2. 信頼できる不動産会社の選択
任意売却を成功させるためには、経験豊富で信頼できる不動産会社を選ぶことが重要です。特に任意売却に精通した会社を選ぶことで、スムーズな売却プロセスが期待できます。
3. 金融機関との良好な関係維持
任意売却には金融機関の承諾が必要です。日頃から金融機関と良好なコミュニケーションを取り、状況を適切に説明することで、承諾を得やすくなります。
4. 物件の適切な管理
売却までの間、物件を適切に管理することが重要です。清掃や簡単な修繕を行うことで、物件の価値を維持し、より高値での売却につながる可能性があります。
5. 柔軟な価格設定
市場の状況や自身の債務状況を考慮し、柔軟な価格設定を心がけましょう。必要以上に高値にこだわると、売却が長引く可能性があります。
6. 専門家への相談
弁護士や司法書士などの専門家に相談することで、法的な観点からのアドバイスを得ることができます。特に複雑な権利関係がある場合などは、専門家の助言が有用です。
任意売却に強い会社を探す方法
任意売却を考える際に、司法書士や弁護士や、任意売却ができる不動産会社を探す必要があります。しかしどう探せば良いのかわからないと思います。全国にたくさんある不動産会社の中から、任意売却を取り扱って尚且つ強い会社を見つけるのは大変なことです。
そういった場合は、一括見積査定サイトで査定をしてみるのがおすすめです。
一括見積査定サイトの利用がおすすめ
任意売却を得意としていて納得のいく交渉をしてくれる不動産会社を探すには、一括見積査定サイトを利用するのがおすすめです。
情報を入力することで最大10社の見積を比較検討することができます。弁護士監修なので安心して利用できてサポートも受けることができ、平均120%の高額査定で高値での売却が期待できるため、債務整理の費用も出すことができる可能性があります。
こうした納得のいく会社を見極めることができるため、興味のある方は一度ご利用ください。
まとめ
任意売却と競売は、どちらも不動産を処分する方法ですが、そのプロセスや結果には大きな違いがあります。多くの場合、任意売却の方が所有者にとって有利な選択肢となります。 任意売却は、高値での売却可能性、売却期間の短縮、信用情報への影響軽減など、多くのメリットがあります。
一方で、売却活動の負担や金融機関の承諾が必要といったデメリットもありますが、これらは適切な対応と一括見積査定サイト等で専門家のサポートにより軽減することができます。
- 有限会社ケイ・インターナショナル大阪梅田にて宅建業を運営。不動産売買や賃貸仲介、不動産管理を得意とする。