共有名義・共同名義[きょうゆうめいぎ・きょうどうめいぎ]
共有名義とは?
共有名義とは不動産を複数人で所有している状態のことをいいます。
共同名義とは同じ意味です。
共有名義・共同名義は例を挙げると、以下のようなケースがあります。
- 夫婦で不動産を購入した場合
- 複数の相続人で相続した場合
- 不動産を複数人で出資して購入した場合
複数の所有者が一つの不動産を所持するため、それぞれの所有者が自らの分の所有権を主張することができます。そのため売却する際には、所有者全員の同意が必要となります。
不動産の共有名義のメリット
不動産を共有名義で所有すると、税金の特例措置の優遇・節税などのメリットを受けることができます。
- 住宅ローン控除が共有名義人それぞれに受けられる
- 売却時に特別控除を共有名義人それぞれ受けられる
- 相続の際に節税できる
1. 住宅ローン控除が共有名義人それぞれに受けられる
共有名義で不動産を取得した場合、共有名義人それぞれが住宅ローン控除を受けることができます。 例えば、夫婦共働きでマイホームを共同名義で購入した場合、夫婦それぞれの収入に対して「住宅ローン控除」を受けることができます。
単独名義の場合は、住宅ローンを組んだ本人一人しか控除を受けることができませんが、共有名義の場合は共有名義人それぞれが住宅ローン控除を受けることができるため、控除額が多くなる場合があります。
住宅ローン控除とは
年末時点での住宅ローンの残高の0.7%が、入居したときから最長13年の間、給与などから収めた所得税・住民税から控除される制度のことをいいます。
2. 売却時に特別控除を共有名義人それぞれ受けられる
共有名義で取得した不動産を売却する際に節税できる可能性があります。不動産を売却して利益が発生して、一定の条件を満たしている場合「3,000万円の特別控除の特例」を受けることができます。
3,000万円の特別控除の特例とは
売却で得た利益である譲渡所得から、3,000万円を控除できる特例です。
共有名義の不動産を売却した場合、共有名義人それぞれが3,000万円を控除することができます。
3. 相続の際に節税できる
共有名義で取得した不動産を相続する場合、相続税を節税できることがあります。
共有名義の場合は、相続税は共有名義人それぞれの持分のみが課税対象となります。
例を挙げると、夫婦の共有名義で2,000万円の物件を所有し、1:1の持分割合を設定しているケースでは、夫婦のどちらかが亡くなった場合の相続税の対象額は1,000万円となり、相続税が低くなります。
不動産の共有名義のデメリット
不動産の共有名義は税金面でメリットがある反面、デメリットもあります。不動産を共有名義で所有するかどうかは、デメリットも検討の上慎重に決める必要があります。
- 共有名義の不動産は『自由に売却できない』
- 共有名義の不動産は『自由に貸し出しできない』
- 持分割合の諸費用を負担しなければならない
- 共有名義人間でトラブルになることがある
1. 共有名義の不動産は『自由に売却できない』
共有名義の不動産を、他の共有者の合意なしに売却することはできません。共有不動産の売却には、共有者全員の合意が必要です。

2. 共有名義の不動産は『自由に貸し出しできない』
共有名義の不動産を、共有者一人の意思で自由に他の第三者へ貸し出すことはできません。第三者に貸し出したい場合は、共有者の共有持分の過半数から合意を得る必要があります。
3. 持分割合の諸費用を負担しなければならない
共有者は、それぞれの持分割合に応じた固定資産税や維持管理費などの費用負担を拒否することはできません。
3. 共有名義人間でトラブルになることがある
不動産を手にいれたときには問題がなくとも、その後の各々の経済状況の変化などにより、不動産の共有名義はトラブルに発展しがちです。
例えば共働き夫婦が共有名義で住宅を購入し、その後離婚した場合に問題になります。離婚後に夫が家を出ていき、妻子が家に残ったとします。その後夫がローンを滞納して不動産が競売にかけられると、妻子は家を強制退去させられることになります。
または、離婚後にどちらが物件に残るかどうかでもめることもあるでしょう。
また、親族間の相続の場合、共有者が複雑になって売却の際の共有者の合意をとることができずに、いつまでも不動産を売ることができなくなるといったトラブルも発生します。